はじめに
昨今情報量の多いゲームが増えてきており脳の負荷が高まっているのを感じる。
そういった中で遭遇するジレンマについて個人的にまとめてみた。
最近、新しいアクションゲームを始めたんだけど、武器選びでめっちゃ悩んでるんだよね。
最初から種類が多いと、どれが強いのかとか…悩むよね。
そうなんだよ。剣、弓、槍とか、全部で10種類くらいあって、それぞれにステータスが違うし、攻撃範囲とかスキルもバラバラでさ。どれを選べばいいのか決められなくて、ずっと悩んでる。
選択肢が多いのはいいけど、多すぎて逆に困るよね。
弱い武器とか選んだら後悔しそうで進められなくなっちゃうんだよね。
ゲーマーならこんな感じの気持ちが結構わかるんじゃないでしょうか。
選択肢の数が心理に与える影響
有名な実験として「ジャムの実験」というのがあります。
6種類のジャムを提示された場合と24種類のジャムを提示された場合で、購入意欲や満足度にどのような違いが出るかを調べた結果、選択肢が少ない方が実際の購入率が高かったという結果が出たとのこと
実験の参加者は約754人
- 24種類のジャムが提示された場合:
- 試食コーナーに立ち寄った人の60%が立ち止まって興味を示しましたが、実際にジャムを購入したのは3%だった
- 6種類のジャムが提示された場合:
- 試食コーナーに立ち寄った人の40%が立ち止まって興味を示したがジャムを購入したのは30%だった
論文タイトル: “When Choice is Demotivating: Can One Desire Too Much of a Good Thing?”
著者: Sheena S. Iyengar and Mark R. Lepper
この結果をもとに以下のようなことが言えると思う
選択肢が多いゲーム:
- 最初に選択肢がいっぱいあると興味を持ちやすいが、選択する要素が多すぎて、どれを選べば良いのか迷ってしまい、決断を先延ばしにしたりして結局そこで辞めてしまう…ということが考えられそう
選択肢が少ないゲーム:
- 選択肢が少ないため、興味を引きにくいが、選択する要素が少ないので悩むことが少なくなりプレイヤーはすぐに行動を起こしやすく、ゲームの進行を継続する可能性が高くなる…ということが考えられそう
ただ、全部少なくすればいいというわけではなく最初だけ多くして、そこから先は複雑にしないというのが1番いいのかもしれない。
例えば…このゲームで使えるキャラクターは20種類います。でも操作はどれもシンプルです。
といった感じ。
選択肢が多いとストレスが溜まる現象
選択のパラドックス
選択肢が増えすぎると起こる心理的なストレスを選択のパラドックスと言う
決断が難しくなりストレスが溜まる
多くの選択肢から比較・検討するのが大変になってしまいます。なので決断を下すことが難しくなりそれがストレスになる。
満足感が低下する
最終的に選んだものが完璧でないと感じやすく、他の選択肢を選んだ方が良かったのではないかという後悔が出てくるので微妙な気分になりストレスになる
提唱者: 社会心理学者バリー・シュワルツ(Barry Schwartz)
参考文献: Barry Schwartz の『The Paradox of Choice: Why More Is Less』
もちろん言いきれないこともある
大量の選択肢を提示された時にこんなにいっぱいある!スゲーーッ!というパターンの人もそれなりにいるとは思う。
当然と言えば当然で、もちろん好みの影響で逆の現象が起こりうる
ただジャムの実験によると、多くの人が選択肢が多すぎるとストレスを感じやすく、意思決定が難しくなる傾向があるということが示されているので大体の人が当てはまる。
パーソナリティやプレイスタイル
簡単に分類するとすれば
- 直感的なタイプ
- 慎重に考えるタイプ
この2択で考えられる。
慎重に考えるタイプは選択肢が多すぎると考えなければいけないことが多すぎるのでストレスを感じるが、直感的な人は特にその辺りにストレスを感じないという事が言えそうで、自分がどっちなのかというのはなんとなくわかると思う。
選択肢が多いほうが嬉しい場合
のんびりと探索を楽しむようなゲームでは、選択肢が多いことが魅力になることもあります
例えば、何かをクラフトする機能はクラフトできるものが多ければ多いほど楽しめると思うし、他には部屋に家具を飾ることができる機能も家具が多い方が間違いなく楽しいと思う。
ただこの場合”のんびりする” “じっくり作りこむ”という事を楽しめないタイプの人は根本的に向いていないので選択肢がどうのこうの以前の問題になってくる。
昨今やっぱり”飽きやすい人”が増えているのでのんびりすることが向いていないというは結構な割合でいるんじゃないかなーと個人的に思っている
人気タイトルでの昨今の傾向1
最近の買い切りゲームを遊んでいると、特に人気の作品はシンプルだけど奥深いという調整がされていることが多いと感じることがよくある
ありきたりですがエルデンリングが特にその傾向があったなーと記憶してます。
エルデンリングは武器のカテゴリだけで31種類(DLC含めない)もあり、戦技も80種類以上あって、更に魔法は80種類以上、祈祷は100種類を超えておりとんでもなく選択肢は多い…
が挙動がどれもシンプルなのでどれを使えばいいのかーというところで、効果もわかりやすくそんなに迷わないようになっている。
これは偶然ですが、祝福から近くの敵に試し打ちするというのもゲームシステムの相性的にやりやすいので試してみようという気持ちにさせてくれますよね。
攻撃手段だけで見れば、弱攻撃+強攻撃+戦技、魔術、祈祷…といった感じでおおよそ5種類ぐらいしかないのでシンプルな挙動をベースの上になりたっているのでかなり洗練された調整を感じます。(実際にはジャンプ攻撃やダッシュ攻撃などありますがそれを足してもそんなに多くない)
非常に部分的ですが、こういった選択肢のボリュームを出しつつも、怠いと思われないような調整にしている感じがあってすごいなーと思った次第です。
人気タイトルでの昨今の傾向2
1と関連している傾向として“わかりやすさ”を重視しているように感じています
これも何か具体例はありきたりですが…REシリーズを含むバイオハザードで露骨なほどわかりやすさを優先させたなーと感じました。
ちょっと古いけどバイオハザード7の謎解きパートはゲームオーバーになるとtipsでほぼ答えを教えてくれるようになっています。
更にボス戦でゲームオーバーになると弱点をそのまま教えてくれます。
特にバイオハザード7のボス戦の多くはギミック的な要素が多く、ダメージが通らない場所に、弾を無駄撃ちしてしまい詰んでしまったり、よくわからずやられてしまうことが初見ではかなり起こりやすいです。
また特にバイオ7はかなり怖いのでホラー要素のストレスが常にかかっておりボス戦で更にストレスがかかり「なにこれいみわかんねー!」とストレスが爆発してしまって萎えて辞めてしまうということも考えられるので露骨に配慮したのかなと思ってます。
引用 24時間EIKO!GO!!【7】バイオハザード7 生配信中にクリアなるか!?
tipsに答えが書いてあるので、ゲームオーバーになった後「そうやって倒せばいいのか!」ってすぐ理解できるのでもう1回やってみようってなりやすいのが想像できます。というか自分がそうだったんですが…
これは最新作のバイオハザードRE4でも同じようになっていたので一貫して、プレイヤーが詰まらないようにかなり親切にしている傾向があるなーと思いました。
引用 EIKOがバイオハザードRE:4を生配信!【DLCエイダ編⑤】ラストチャプター!!
まとめ
沢山のアセットを作って、大ボリュームです!とやられてもゲームデザインの工夫次第でプレイヤーにただストレスを与えることになってしまい、台無しになってしまう可能性があるのでうまい具合にやって欲しいところです。(特にオンラインゲームとか)
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